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薔薇盗人

 短編にも定評のある、私が愛してやまない浅田次郎の作品です。

 一番印象に残ったのは「あじさい心中」ですかね。職を失ったカメラマンと、盛りを過ぎたストリッパーが、感情の起伏なく心中を決めていくところが、場末感があってじんわりきましたねー。

 どの作品も、熱量を抑えて平坦に書かれているところが、雰囲気を醸し出していて良かったです。

かたみ歌

 おおおよかった!(≧▽≦) 心にしみいる短編集でした!

 昭和の古き良き時代、レコードの歌が流れるアカシヤ商店街。そこに集う人々の、ちょっと不思議な物語集です。まずなにより、全体に漂う昭和テイストがいい!自分が経験したことはないのに、なぜか懐かしさを覚えてしまうのです。そして登場人物も、基本的に気の良い人ばかり。

 どうもカテゴリを見ると「ホラー」のようですが、むしろ気持ちが良くなる、そんないいお話でした!

沙高楼綺譚

 財を成した者や著名人たちが、他言無用・装飾偽り禁止のルールのなかで秘密を披露し合います。現代版百物語です。

 様々な人間によって語られる物語は、非常にミステリアスな雰囲気も相まって、とても不気味で不思議な余韻を与えてくれます。いくつかの物語はスッキリ終わらないのですが、それがまたいい後味で。浅田次郎版「世にも奇妙な物語」といった風情です。どの物語も興味深く読めて楽しかったです!

見知らぬ妻へ

 浅田次郎の短編集。一つの短編タイトルがそのまま本のタイトルになっているのですが、読んで見るとほとんど「妻」に関する物語でした。

 どの物語もそつなく面白いのですが、私のお気に入りは

 ・住民の高齢化が進み、最後の一人となった老婆の思い出「うたかた」

 ・ぼったくりバーの客引きへと身を落とした男の偽装結婚を描く「見知らぬ妻」

 ですね。どれもちょっと切ない、いい物語でした!

生贄のジレンマ(上)

 面白い!これは面白いですぞ!

 卒業間近の3年生が、突如みずからの命をかけたイベントに巻き込まれる。「何もしなければあと3時間でタイムリミット」「誰か一人が志願して生贄となればタイムリミットが24時間延びる」「多数決(他薦)で生贄を決めればタイムリミットが6時間延びる」「タイムリミットが来れば全員死ぬ」――。

 閉鎖された学校、クラスメイト間で生き死にを賭けたゲーム、を題材にした小説はけっこうありますが、この小説は、なんというか不気味。かつタイトルにもなった「囚人のジレンマ」のとおり、完全な答えがないところがまた残酷で面白い!

 しかも最後がずるいんですよ!あんな終わり方されたら、絶対続編読んじゃう……!中巻・下巻が楽しみな小説です、面白かったです!(≧▽≦)

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

 私が大好きな橘玲氏の新刊。それにしても、なんという、若い人にはお勧めできない本……!

 私達は小さいころから「やればできる」「努力は報われる」「頑張れば自分は変われる」と教えられてきました。もちろん大人になってからも、自己啓発本やら何やらは「やればできる」が基本となっています。その考え方を根本から覆してしまうのがこの本。それは、

 「やってもできないことがある」

 本書は「やってもできない」ことを前提とし、それでも幸せになるにはどうすればいいか、を説きます。結論はいまいちピンとこないし、若い人には読んで欲しくない本なんですけど、個人的には好きな本です。でもオススメはしにくい!

マリアビートル

 面白かった−!!(≧▽≦)

 これはオススメ!(≧▽≦)

 方々で評判の良かった「ゴールデンスランバー」が、私的にはイマイチで、うーんと思っていたのですが、この作品は気に入りました!伊坂幸太郎節を満喫できた!

 中学生の天才、アル中の元殺し屋、二人組の殺し屋、そして運の悪い仕事人。ありとあらゆるクセを持つ連中が、たまたま1両の東北新幹線に乗り合わせる。

 運の悪い仕事人こと七尾は、東京から乗り、車内にあるトランクを盗んで上野で降りる、それだけの仕事のはずだったのだが――。

 多数の視点を切り替えて物語は進むのですが、各キャラが特徴ありすぎてまったく混乱しない!そして後半の物語に引き込むパワー!いい本でした、楽しかったです(≧▽≦)

ジョーカー・ゲーム

 面白いー!!(≧▽≦)

 2010年で読んだ本の中でも、3本の指に入るぐらい面白かった!!

 戦争前夜の日本。各方面から反発を受けながらも日本陸軍内に設立されたスパイ養成学校「D機関」。常人離れした生徒らが、「目立たず」「殺さず死なず」に、諜報活動を進めていく――。

 この小説のスパイは、よくあるスパイ映画のような銃撃戦も、殺人も、自害も、完全に禁止されているんですね。スパイとは絶対にヒーローになりえず、常に目立たぬ存在であり続けること。その前提に立ったスパイ物語が、これほどに面白いとは!(≧▽≦)

 短編集であり、続編「ダブル・ジョーカー」も出ているようなので、絶対に読みます!オススメです!(≧▽≦)