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虚像(メディア)の砦

 「ハゲタカ」を書いた真山仁が、テレビ局と政治の絡みを描いた作品です。ジャーナリストとは何か、報道とは何かを問いかけてきます。ていうか、

 テレビ局、怖ぇ

 いやもちろんフィクションの部分もあるんでしょうけど、私がこんな世界に飛び込んだらストレスで脱毛する自信があります。恐ろしい……。

 フィクションという体をとっていますが、明らかにイラクの人質事件やオウム事件などを意識した事件が発生します。当時のテレビ局内部でどのような動きがあったのか、少しばかり理解できた気持ちになれました!

ぢん・ぢん・ぢん

 すごい。すごい小説。

 物語の最初からして

 「ホームレスからヒモ稼業へ転進した童貞のノリオ」

 でして、これだけ見れば、ちょっとコミカルな雰囲気があるじゃないですか。とんでもない。ホームレス、レイプ、オカマ、ゲイ、ヤクザ、ヒモ、在日、大人のおもちゃ、性転換、整形、ソープ、もう歌舞伎町を彩るありとあらゆる事柄が煮込まれている。材料が多すぎて、多少冗長だと思える部分もありましたけど。

 そして特筆すべきは、性と暴力の描写ですよ。暴力はどこまでも理不尽で痛々しく、性は限りなく淫靡でイヤラシイ。通勤途中に読んでいて、何度勃起したと思ってるんだ!まったく!(誰に怒ってるんですか)

 そして物語全体に通じる「救われなさ」が、最終章で頂点へ達します。なんですかこの絶望感。

 「面白いか面白くないか」と問われれば、間違いなく面白い小説です。しかし、私はそれ以上に「すごい」小説だと感じました。凄いよ……。もう一度読みたいような、読みたくないような……。

日暮らし(上・下)

 宮部みゆきの時代小説です。そりゃふつーに面白いに決まってますわな!5章の短編として書かれていますが、それぞれが繋がりあっていまして、だんだんと本編へ入っていくような流れになっています。

 どこか抜けている同心・平八郎や、美形で聡い少年・弓之助など、登場人物がどれも魅力的で困ったもんです。で、みんな温かみがあるんですよね……。ほんと、江戸っ子の雰囲気って大好きです。

 最後にけっこうな事件が起こり、そのまま下巻へと続いています(≧▽≦)

ブルータワー

 面白かったああああああああ!щ(゚Д゚щ)

 これは年末に発表する「2008年度ろじぱら読書大賞」のベスト3に入った!そういう音がした!

 悪性の脳腫瘍に侵され、余命いくばもない男性が主人公です。残された人生を絶望とともに生きる男。ところが、腫瘍による頭痛で意識を失い、再び目を開けたとき、そこは……。

 魔界塔士Sa・Gaのような世界観といい、フィクションなのに妙にリアルな設定といい、もう素晴らしい!ひさしぶりに熱中して電車を乗り過ごしてしまいました!

 

 こ れ は 映 画 化 さ れ る べ き。

 

 オススメの一冊です!(≧▽≦)

予知夢

 これも面白かったです!

 ドラマ化もされた「探偵ガリレオ」シリーズの2作目。探偵ガリレオは月9でドラマ化されましたが、最終話に登場した爆弾「レッドマーキュリー」のクズデザインっぷりが全てをぶち壊、あ、本の話ですね。はい。

 探偵ガリレオって、他の推理小説と違う味があるんですよねー。短編集ですから、「はいトリック!」「はい解決!」みたいなテンポの良さと、理系トリックの合わせ技がすこぶる肌に合うんです。

 で、本のタイトルにもなった最終話「予知夢」。すごい良い終わりでした!こういう雰囲気をだして終わる話が大好きです!

約束

 石田衣良の短編集です。

 「1ポンドの悲しみ」もそうでしたが、この人の短編って柔らかさを感じるんですよね。本作も、命に関する作品が多くて、決して明るいテーマではないのですが、それでも安心して読めるのが不思議です。いい本でしたー!