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真夜中の五分前 Side-B

 Side-Aから連荘です。タイトルからして、双子のもう片方の視点か?と思いきや、Side-Aの2年後のお話です。そして話が急展開してる!!

 Side-A、Side-Bと読んだ感想。この本は面白い。

 澱みのない文体、ちょっとオシャレな台詞。オシャレな台詞が「現実にありうるギリギリの上限で」オシャレであるところに、この作者の上手さを感じます。

 他の小説を読むと、「カッコいいけど、これは小説だから言える言葉だよな〜」と感じちゃう台詞って、結構あるんですよね。だけど本作に出ている台詞は、「ギリギリで」有りそうな言葉なんです。台詞だけじゃなくて登場人物も、シチュエーションも、許容範囲でひねくれている。

 恋愛小説というと、ちょっと身構えてしまう方々にも勧められる作品です。ほんのちょびっとのモヤモヤ感を残して、物語が閉じていくところが素敵でした!

マグマ

 「ハゲタカ」「バイアウト」など骨太な小説を書くことで知られる真山仁の作品。今回の舞台は地熱発電。火山が多い日本において、 悲願の国産エネルギーであるはずの地熱がなぜ普及しないのか。圧倒的な取材力に裏付けられた骨太な小説です。

 原油高が叫ばれる昨今、あまりにもタイミングが良い!!すばらしい資源が日本に埋もれているのに、それを活用できていない現実を知らされます。政治家もっといろいろ頑張れよ!と、もどかしい気持ちになっちゃいます。

 あと真山仁の小説って、職人気質のキャラがよく出るんです。本作にも地熱の職人みたいな人がでて、その人の仕事に対する姿勢が泣かせる……。技術者たるもの、かのように生きてみたいと思わせてくれます!

きらきらひかる

 すごく不思議な空気感の小説。

 旦那はホモで彼氏あり、妻は「正常の域を逸脱しない程度の」精神病。おたがいを認めたうえで結婚したのだが――。

 自らが一般的ではないことを認め合って結婚したのに、両親、友人、同僚などが押し付ける「一般的な夫婦像」とのギャップに苦しむ二人。この旦那(睦月)がずいぶん出来た人でねー。100回生まれ変わっても、自分はこういう人間にはなれないと断言しよう!(自慢?)

月は幽咽のデバイス

 森博嗣のVシリーズ3作目。

 正直、推理の部分は印象に残ってません!

 むしろ 紅子と七夏の、女の戦いが相変わらず熱い……。だんだん主要キャラ4人の性質がわかってきたので、すんなり入っていけるようになってきました。そして保呂草の裏面っぷりがだんだんと滲みでてきて……。最後にどうなっちゃうのかしら、この人。

マルドゥック・ヴェロシティ(1)

 日本SF大賞受賞「マルドゥック・スクランブル」の続編。時系列的にはスクランブルより昔の話になります。

 Amazonのレビューにも書かれているように、ちょっと文体が異様。スラッシュと体言止めを駆使した書き方は、最初、かなりの違和感を感じます。が、慣れるとこれがスイスイ読めるんですよね〜。

 1巻目は登場人物の紹介、および舞台背景の説明が主ですが、会話のテンポや戦闘シーンのスピード感が半端じゃない。さすがは複数の方々が「ワタナベさん読んでみてください!」と推薦するだけのことはありますよ。作者の才気がにじみ出るような作品でした。もちろん2巻・3巻も読みます!

マルドゥック・ヴェロシティ(2)

 そして2冊目。

 使われない兵器という立場から、証人保護任務を遂行する立場へ。物語の全容が見えてくるにつれ、マルドゥック市のトップにも関わる陰謀へ巻き込まれていきます。

 それにしても、敵役「カルト・カール」たちの変態っぷりといったら!拷問の仕方もさることながら、外見や叫び声などすべてがイってますよ。「おかあちゃあああああん!」って叫びながら襲ってくる敵なんて嫌すぎる……。

レフト・アローン

 近未来の宇宙と生物を題材とした短編集。

 「ベストSF1999」で国内第1位を獲るだけあって、しっかりとした知識に裏付けられたストーリーが印象的です。何でしょうね、知識に溺れていない、という雰囲気を感じました。

 私のお気に入りの物語は「コスモノーティス」。宇宙に住むために遺伝子を変えた人間が、役割ごとにいくつかの種族に分かれ、惑星の軌道上に住んでいる――もうこのストーリーだけで「マンアフターマン」好きな私は狂喜ですよ。読んでいると宇宙へ行きたくなる、そんな本でした!