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足が痛い。
足が痛い。
足が痛い。
これは捻挫か疲労骨折してるんじゃないか?骨折したらウォーキングは中止って、事前に決めていたじゃないか?このまま取り返しのつかないことになったらどうするんだ?
――気を抜くと無数の言い訳を考えている自分がいる。つねに気持ちを保たないと、ひび割れた心の隙間に弱気が染み込むのを感じる。砂の味しかしないチョコを噛みながら、亀のような歩みで、それでも一歩一歩進んでいく。
食欲はない。睡魔もない。写真を撮る気力もない。ただ、足が痛い。それでも歩くしかない。
住宅街を抜けると、ようやく橋が見えてきた。やっとこれで川を越えられる……。ゴールである我が家への架け橋……。
橋に設置されたスロープをゆるゆると登り、やっとの思いで江戸川を渡り始める。ゴールへの障壁であった川を上から眺めると、河川敷で遊んでいる家族連れが目に留まった。彼らと私の違いは何なのだろう。そんなことをふと考える。
橋を渡りきり、いよいよ残り4km。
この道をまっすぐ4kmいけば、我が家に着く!
ちょうど芝生があったので、そこで最後の長休憩ですよ。出発するときに、かばんにバナナを入れておいたのをいまさら思い出し、エネルギー補充のためにパクパク食べておきます。あと4kmのエネルギーを俺に与えてくれ!これまた今更ながら日焼け止めを顔に塗りたくって、ラストいくぞー!!
人間は、普通に歩いて時速4km程度の歩行速度だそうです。普通なら1時間で歩ける距離ですが、さすがにこの状態では1.5時間はかかるでしょう。もう少し……もう少しだ……。
しかしながら、想像以上に足が疲弊しており、100mすらまともに歩けません。少し歩いては標識によりかかり、少し歩いてはマンションの階段で座って休憩しなければならないのです。
1時間経過。半分の2kmを歩きました。残り半分、ということは、あと1時間かかるのか……。
1時間経過。予定の半分、1kmしか歩けていない。ゴールが近づくにつれ、急激に歩行速度が鈍ってくる。もしかしたら、このまま一生ゴールできないんじゃないか……など想像してしまいます。
車道と歩道の段差がキツい。ちょっと傾斜がついている歩道がキツい。冗談に聞こえるかもしれませんが、横断歩道の黒い部分と、ペンキが乗っている白い部分の段差がキツい。こういう状態で初めて理解する。この世界はでこぼこだらけだ。
さらに1時間経過。見慣れた景色の向こう側に、ようやく自宅が見えてくる。しかしまっすぐにゴールしてはいけません。食料品を買い込まなければ。きっと一度帰宅したら最後、しばらく外出することすら出来ないでしょう。コンビニに寄り、手当たりしだいに食料をカゴに放り込みます。
残り100m。ボロボロになりながら、排気ガスに塗れながら、コンビニの袋を引きずるように持ちながら、一歩一歩進んで、ついに、
ゴール!うおおおおおおおお!俺はやったぞおおおおおおお!(≧▽≦)
……うん、24時間マラソンのランナーはいいよね。
出迎えてくれる人がいるから。
感動に浸る暇もなく、這うように自室へ。膝が曲がらないから靴が脱げない。ユニットバスの段差が越えられない。なにかにつかまらないと立っていられない。それでも入浴を済ませ、足に湿布を張りまくり、ようやく布団へ。
目が覚めたら千葉工業団地の原っぱだったらどうしよう、という恐怖におののきながら就寝。 これにて「俺のピクニック」、全行程が終了しました。
◇ ◇ ◇
……そんな感じで「俺のピクニック」100km歩行記は終了です。長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!
余談なのですが、歩道が見つからなくて迂回した市川大橋。歩道はあったらしいです。あっはっはっはっはっは(乾いた笑い)
最後に、ゴールした瞬間に思ったことを、もう一度ここに書き記しておきますね。
二度とやらねぇ
「俺のピクニック」100km歩行記 ― 完 ―
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