駅前の某大型家電屋に行ってきました。ぶらぶらしながらパソコンのソフトを売っているエリアに入ったのです。流石は大型量販店です。むちゃむちゃ広いです。その一角に明らかに他とは隔離されているように存在するエロゲエリア。
の入り口でお互いに牽制するように横目で様子を見ている青少年どもを尻目に、エロゲエリアへ堂々と入っていくワタナベ。漢です。その威風堂々な様子はあたかも竜王を倒した後アレフガルド城へ凱旋した勇者のようだったと店員は語る(後日談)。
そうです。ワタナベには一年近い中古屋バイトによって、エロゲに対する羞恥心を克服しているのです。これはある種のスキル(技術)です。このスキルがあると、エロゲを選定中に中学校時代の初恋の相手(超美人)に遭遇しても、
「よっ!元気?(ニカッ☆)」
と少年のような満面の笑みでエロゲの箱の裏側を見せながら挨拶ができるようになります。ちなみに、「エロゲエリアへ進入」するためにはレベル2以上のスキルが必要です。
さてエリアへ侵入成功したワタナベ。周りを見渡し、新作コーナーへと足を運びます。凄いです。二ヶ月間エロゲから離れているだけで全く知らないソフトが並んでいます。しかし慌てず情報収集です。まずエロゲの箱を手にとって眺めます。(必要レベル3)そののち裏面を見てゲーム画面を吟味します。(必要レベル4※)
※他にも中難易度なアクションとして、鬼畜系エロゲの予約(電話番号は自宅)・「このゲームって音声入ってますか?」「初回特典は付いてますか?」といったディープな質問・「このゲームは前作に比べてキャラが弱いんだよねー」などとのたまう評論系オタク友達との店内巡回などがあります。
一段落付いて、ゆっくりと周りを見渡します。それにしても何でしょうこの居心地の良さは。まるで在るべき場所に居るようなおさまりの良さは。帰るべき場所へ帰ってきたようなくつろぎ感は。
エロゲを見つめて優しく囁く。
「―――待たせたね。」
2000年のある日、一人の漢がまた人として越えてはならない一線を越えた。
(↑過去に5回ほどラインを越えたことのある常習犯)
さて情報収集は終了。今回は偵察のみということで何も買わずに帰ります。ふっ。今回は見逃してやるぜ!と心の中で呟きながらエロゲエリアを脱出しようとしたその時!
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ・・・。
見逃してくれなかったようです。突然ゲートが!万引き防止用のゲートが店内に響き渡るほどの大音量で鳴りだしたのです!ちょっと待て俺は万引きなんかしてねえぞ!手荷物だって無いし服装も薄いし、隠すところなんてねえぞ!と思いつつ振り返ると。
エロゲエリアに居た全員の客の視線。
しまったああ!さっきからエロゲを手にとって眺めたり優しく何かを呟いたり不審者指数ぶっちぎりじゃねえかあ俺?!違うんですよ俺は潔癖ですよ!とイングリッシュに肩をすくめていると背中に視線。
そう。今日は休日。振り返ると家電から携帯に至るまでありとあらゆる売り場に居た全ての客の視線集中。店で一番の注目者に。ああ見通しのいい店舗構成よ万歳!その客達が俺を見ながら何かひそひそと話しているんですよ。何を言っているのか聞こえないのですが、たぶん
「まあなんざましょ!奥様ご覧になりまして?あの方エロゲエリアから出てきましたわよ!なんて汚らわしい!しかも万引きなさったようですわよ!なんてことざましょウチのスネちゃまには見せられないザマス!」
みたいなことを言われているのに決まっています。ああっ!なんかちょっと快感!もっと俺を見て!俺の全てを見てえええええ!とベルトに手を掛けたその時、店員が到着。もう平謝りです。
「すいませんこちらの不手際でお客様に不快な思いをさせてしまって申し訳ありません」
「大丈夫ですよ気にしないでください。慣れてますから。
恐らく店員はブザー鳴らされるのに慣れていると解釈したのでしょう。もちろん、エロゲなどを買って視線を浴びる羞恥プレイに慣れていると言ったのですが。どっちにしろ誇れることではありません。
店の出口近くでもう一度店内を振り返る。様々な欲望が渦巻くエロゲエリア。そこでは人間の尊厳を賭けた闘いが行われ、命を落とすものも少なくないと聞く。ワタナベは眼を細めてタバコに火を付ける。紫煙をくゆらせながら一言「また来るぜ・・・」コートの裾を翻してワタナベは出口の光の中へと消えていった――。
かっ・・・カッコエエ!!!!(最後の文だけな)
※注1 ワタナベはタバコを吸いません
※注2 ワタナベはコートを着てません
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