










とりあえず内定式はものの10分で終わりやがってその後業務連絡&懇親会。
懇親会。それはとりあえず見知らぬ内定者を集めて酒に浸してかき混ぜて会社に必要なコミュニケーションを取らせるという有り難くも神聖な儀式。
そこは外ヅラのいいワタナベ、適当に飲んで適当な野郎としゃべっていたわけですよ。そこで同期の女の子の話になりまして。テーブルを二つはさんで向こう側にちょっとロリ気味な女性が居たんですよ。はっきりいって可愛いです。むちゃ好みです。
その女性を見て、その日初めて会った「外見さわやか風」な男が突然、誰にも聞こえないぐらいの小声でボソッとこうつぶやいたんですよ。
「あれでたい焼きを食べていれば完璧なんだが・・・」
びくっ!ぽとっ。(その台詞にワタナベが全身で反応してしまい、箸でつまんでいたエビフライを落とした音)
・・・・え?いまコイツ何て言ったんだ?たい焼き?そういったのか?同類?こんな爽やかなビジュアルなのに?いや待て!俺の聞き違いかもしれないではないか!聞き違いなのに無防備に突っ込んでいったら
「エロゲーで号泣した男」
と自らレッテルを貼ってしまうことに等しいではないか!定年まで後ろ指を指されてもいいのか?冷静になれ!
冷静になったワタナベ。探りを入れることに。
「・・・ひょっとして、『三つ目の願い』で泣いたことがありませんか?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
がしっ!(数秒の沈黙の後、漢たちが堅い握手を交わした音)
そう、あの瞬間漢たちは千の言葉を交わし、万の時をともにすごすよりも熱い絆で結ばれてしまったのである!その絆は肉親や兄弟の絆よりも濃く、ワタナベの心を深く穿つのに十分たる意味を持っていたのである!
・・・・というわけで、バイト退職後はエロゲーから離れて一般社会へ回帰しようプロジェクトは早くもほころびを見せはじめているのであった。
――俺の人生はどこへ向かっていますか?
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