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フィッシュストーリー

 伊坂作品にでてきた脇役の日常を描いた短編集。例によってすいすい読めてしまいます。特筆すべきは、泥棒の黒澤が妙に活躍しているところでしょうか。妙に魅力的に描かれているあたり、お気に入りのキャラなのかなーと想像しちゃったり。

 あと最後のお話、面白いんですが、「ポテチ」というタイトルはそれでいいのかな……。なにか深い意味があってのポテチなのかな……?

猫の地球儀 焔の章 / 幽の章(その2)

 「イリヤの空」と同じく、秋山瑞人の作品。

 以下、簡単なあらすじですが、微妙に内容に触れてるため白文字で。読みたい人は反転させてください。

 ↓↓↓ 以下あらすじ ↓↓↓

 舞台は地球の上空6000kmを公転する「トルク」と呼ばれる建造物。天使とよばれる人間は滅び、天使が残したロボットと、知性を持った猫が繁栄を謳歌している。

 死んだ猫は魂となって地球へ降りる。猫の世界を統べる宗教者はそう教え、教義に疑問を挟むことすら許さない。そんな世界の中、ただ強いことが自らの存在意義と信じる焔と、宗教上のタブーを犯し生きたまま地球へ降りようとする幽。二人の目的が重なって――。

 ↑↑↑ 以上あらすじ ↑↑↑

 もうこの世界観だけでキュンキュンできますよ!そしてラストの解釈が正直難しい!ハッピーエンドとも、バットエンドともとれる終わり方だし、解決していない謎もいくつかある!それがまた不思議な余韻として残るんですよね〜。この作者はハイテクモノの戦闘シーンが上手いですなー!

オイディプス症候群

 読みきった……やっと読みきったぞ……_| ̄|○

 京極に並ぶとも劣らない分厚さに、笠井潔テイストの文章が上下2段組でびっしりと書かれておりますので、ある程度の体力がないと読めないシロモノとなっております。

 一人が殺されるたび、残された人間が論理的に「誰が犯人か」を推理するのですが、ナディア嬢は例によってミスリード担当となっておりまして、最後にカケルが真相を語る、というスタイルは健在です。矢吹駆シリーズは、1作目から読まないと免疫ができてなくてキツいと思うのですよ。わりと本気で。

檸檬のころ

 あーま

 ずっ

 ばーーーーーい!!

 タイトルの通り、青春小説です。もう酸っぱい!どの友達と一緒に電車通学するか、とか、昔付き合ってた彼女が親友の下へ、とか

 ( ゚Д゚) 共学いいなあああああああああ!

 どの短編集も心地よく読めるものばかりです!とくに最後のお話は、ちょうどいまの時期にぴったりですよ〜。

終末のフール

 「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されて5年後。刻一刻と終末に近づく世界に生きる人々の短編集。

 まあ普通だったら、小惑星の激突を阻止すべく、シャトルに乗って惑星を爆破しに行ったり、もしくは衝突直後の大スペクタルを書きそうなものじゃないですか。でもそこは伊坂ですよ。当初の大混乱は収束し、惑星が衝突するまであと2〜3年、という微妙な平穏の時期が本小説の舞台となっています。誰しもが終末を受け入れ、混乱期の隣人の死を受け入れた上で、どのような人生を過ごすのか――。

 非日常の中にある日常、がしっかりと表現されていて良かったです!「死神の精度」に近いテイストでした!

図書館戦争

 本屋大賞にノミネートされ、王様のブランチでも紹介されていた作品。

 「メディア良化法」の名のもとに行われる超法規的検閲に対抗するため、重火器で武装し、図書を守る図書隊防衛員。女性には珍しく、防衛員を志望して入隊した笠原郁は……。

 タイトルは「戦争」と銘打っており、確かに戦争さながらのシーンもあるのですが、血なまぐさい感じは一切ありません。対して郁のトキメキや上官・ライバルとの会話は妙に楽しく、「狼と香辛料」のテンポに近いものを感じました。

 作者は「図書館の自由に関する宣言」を見て、このストーリーを思いついたそうです。ちょっと前に、実際にメディア規正法が成立しかかったあたり、荒唐無稽な話とは言い切れないところに、ちょっと恐ろしさを感じました。