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Q&A

 都市郊外の大型商業施設Mにて重大死傷事故発生。死者69名、負傷者116名。当初は爆発、毒ガスなどの原因が噂される。しかし、未だ事故原因を特定できず――

 この本の面白いところは、すべての章が1対1の会話で成り立っているところです。事故の被害者、報道した新聞記者、救助にあたったレスキュー隊員との会話から全体像を把握していきます。またそれぞれの会話から、いくつものサブストーリーが進展していることを知ることになります。

 読者は圧倒的な傍観者とならざるを得ず、それがまた事件の不透明さとあいまって、もどかしさがたまらない!亡霊も怨念もないのに、常にある種の不気味さが漂っています。1度読んで物語が理解し、2度読んであらゆるところに散りばめられている伏線に気付きました。面白かったです!

椿山課長の七日間

 過労がたたり、仕事中に死んでしまった椿山課長。仕事、家族、女友達が気がかりで成仏できない椿山に、7日間だけ現世へ戻るチャンスが与えられる――。

 ワーカホリックの中年、テキヤのヤクザ、金持ちの少年。3人が別の体を与えられ、自分が生きてきた世界の裏側を垣間見ていきます。残された者の死者に対する想いが切なくてたまりません!特に知子の椿山に対する思いが、もう!ああ!私としては最後が、ええ!ああ!もう!(ネタバレのため自制)

有限と微小のパン―THE PERFECT OUTSIDER

 本シリーズで真賀田四季が登場すると、バーチャルとリアルについての話・「感覚とは何か」「存在とは何か」という話になります。本作は、ある意味仮想現実であるテーマパーク内での殺人事件を描いています。

 殺人の謎解きよりも、ラストのエピソードが私は好きです。むしろラストを書きたいがために本作を書いたんじゃ?と穿った見方をしてしまいました。何ともいえない後味を残してくれます。これでS&Mシリーズって完結なんですか!?次は四季シリーズかなぁ……。

いちご同盟

 「いちご同盟」というポップなタイトルから、青春真っ只中の少年少女が体験する甘酸っぱいストーリーを想像して読むと完膚なきまでに叩きのめされます。重いです。ものすごく重いです。

 進路に悩み、「自殺」すら選択肢にいれている少年が難病に苦しむ少女と出会う。詩や小説の中でしか知らなかった「死」を間近に感じ、少年は少しずつ変わっていきます。中学生高校生ぐらいの方はもちろん、成人でも昔の自分と重ね合わせつつ物語へ入っていけますよ。

フォア・フォーズの素数

 短編集なんですけど、それぞれの長さもジャンルも完全にバラバラです。中には400文字(1ページ)の短編まであります。

 で、内容なんですが、状況説明で終わってオチが明記されていないんですよ。「そ、それからどうなったの!?」って聞きたくなる短編ばっかり!ここで読者にぶん投げかよ!みたいなもきゅもきゅ感がたまりません。

 タイトルの「フォア・フォーズの素数」ですが、4を4つ使って1から100までの数字を表現しようとする少年の話です。これもラストがすんごいの。なんともいえない読了感がありますよ!