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バイバイ、エンジェル

 警視の娘ナディアと風変わりな日本人 矢吹駆が、フランスを舞台とした奇妙な殺人事件を「現象学」というアプローチで解決していきます。

 この「現象学」、本文中で駆によって説明がなされているのですが、もう何が何だかさっぱり_| ̄|○ 妖怪ウンチクを語る京極道を思い出させるほど駆の台詞が長く、かつ抽象的なときが多々あるのです。

 しかしながら、この矢吹駆という人物の風変わりさ、冷酷さ、残忍さがあまりにも魅力的で、どんどん読み進めたくなるんです。キャラが魅力的な小説って、その続編を期待しちゃいますね。

重力ピエロ

 「陽気な〜」と同じテイストを期待して読むと、完全に裏切られます。重いなー!テーマ重いなー!

 遺伝子を取り扱う会社に勤めている「泉水」と、母親がレイプされなかったら生まれなかった弟、「春」。犯罪が起こらなければこの世に生まれなかった春と、その周囲の人間の葛藤がそこかしこに漂っています。そんな中、二人の周りに連続放火事件が発生し……。

 ただ「重力ピエロ」っていうタイトルはどうなんでしょうかね?他に主題とすべき文章は沢山あるのに、なぜ「重力ピエロ」としたのかがちょっと知りたいです。

サマー・アポカリプス

 矢吹駆シリーズ第二弾。今回は2回殺された死体、見立て通り起こる殺人事件、中世カタリ派の秘宝、とまさにミステリーのてんこ盛り!

 前回の現象学に関する台詞は鳴りを潜め、かわりにカタリ派の歴史のウンチクが色濃く記載されています。ただこれは面白い!宝探しは人間をワクワクさせますな!そしてミステリーのトリックも、なるほどと膝を打つシロモノでした。

 このシリーズ、全ての謎が解けても爽快感が一切ないんです。なんとなくやるせない気持ちを残したまま物語は静かに閉じます。そして次作が読みたくなるんですよね……。

陽気なギャングの日常と襲撃

 前作「陽気なギャングが地球を回す」で登場した魅力的なキャラがそのまま登場!今回も銀行強盗はあるもののオマケみたいなもので、メインは仲間の奪還になっています。

 最近は伊坂幸太郎の本を良く読んでいるのですが、「陽気な〜」シリーズの台詞廻しの面白さはピカイチですね。ストレスなく気楽に楽しく読めますよ!

ラッシュライフ

 きました!オススメです!面白かった!

 泥棒、不倫、リストラ、自殺、神。都会で生きる人々の人生が並行で描かれていき、それが次第に絡んでいく様がすごい面白かった!これはミステリー小説、なのでしょうか?

 「スケッチブック」「バラバラ死体」「拳銃」がピンのように彼らの人生が重なるところを貫いていて、普通ならば決して交わることのない人々が交差していく。それぞれの人生を高いところから俯瞰してみると、それらは全て繋がっていて、壮大な絵を形成していることに初めて気付かされます。文中に書かれている「神」とは、我々読者のことを指しているのかもしれません。

 とにかくオススメです!ぜひご一読を!(≧▽≦)

オーデュボンの祈り

 連続ですが、この本もオススメとさせていただきたい!

 言葉の矛盾を恐れずに言うと「リアリティのある寓話」とでも言いましょうか。外界から孤立した島、しゃべるカカシ、嘘しか言わない画家、などファンタジーでしか有り得無い設定が、現実世界に綺麗に埋め込まれているんですね。特に、人を銃殺することを許されている男・桜の存在感がすごい!法律すら超越した男を許容する人々の考え方が、そのままこの孤島全体の雰囲気を示してるように思えます。

 (↓以下、多少ですがネタバレがあるので、読みたい人は反転させてください)

 

 最近、伊坂幸太郎のファンになりつつあります。この人の作品には最後に悪が裁かれることが多いので気持ちよく読めますね。