それでは、一般人の「南極チャレンジ」に立ちはだかる、大きな2つの難関について説明しましょう。
渡航費用
南極ツアーについては、日本発のものからアルゼンチン発・チリ発のものまで多数あります。また船のグレード、添乗員の有無なども選択肢としてあがってきます。
私は旅慣れしていないので、日本発で添乗員付きのものを検討。また金額も金額であるので、それなりに信頼の置けそうな旅行代理店を選択。これだけの大金を払って「てるみ」られたら暴動モノである。
そういうツアーになると、だいたい日本からの航空券を含めて最安値で170万円。それに港湾使用料やら保険料やらを含めて200万円弱。まごうことなき大金です。
報瀬たちは青春ひゃくまんえんで南極に行こうとしたが、中年になると倍の200万がかかる、ということです。ちなみに年齢は3倍したほうが近いことに今気づいて絶望しています。そっか……彼女たち、私の1/3の歳であれだけ頑張ったのか……そうか……。
余談ですが、「南極点まで行ってキャンプする」という、よりもい勢×ゆるキャン△勢大勝利のツアーもあります。650万円です。
ちなみに南極キャンプですが、南極では火の使用や調理が制限されているため、食事は船で食べて、ただ寝るために南極へ上陸し、極寒の夜をキャンプで過ごすそうです。刑罰かよ。
長期休暇
南極の夏に合わせて行くため、12月前半から、もしくは1月後半から2~3週間というスケジュールで設定されているようです。
カレンダーを確認してみてください。そう、その時期は、お盆も正月も祝日も重ならないのです。つまり、その時期を長期休暇とするためには、自らお休みをひねり出し、カレンダーのマスを埋めていかなければなりません。
新年気分も落ち着き、さあ学業に仕事に頑張ろう!……そんな時期に堂々と2~3週間の休暇を取るという、日本社会になじまない空気の読まなさ、胆力が求められている!!
おたから(資金)とおやすみ(休暇)と
このふたつの山、私ワタナベはどう乗り越えたか。
渡航費用については、前述の「いざという時口座」からひねり出すことにします。「ねーちゃん!いざという時っていまさッ!」と、ジョジョのポコ少年も言っている通りであります。
200万円。銀さんに言わせれば、「家族3人が半年は潜って暮らせる金額」です。 同世代であればマイホームの頭金や子供の学費の足しになるし、独身であっても、貯金しておけば結婚資金として十分通用する額でしょう。
しかし幸運にもその資金を使う予定は一切ないため、堂々と南極につぎ込めるのです!( ゚Д゚)よかったー!独身でよかったー!よかったー!
続いて休暇について。一般的なサラリーマンであれば、特別なイベントもないのに2週間の連続休暇を取ることは、かなり困難でしょう。ましてや私も40代。中堅として会社を担う世代であることを考えれば、なおさらです。
これは早々に上司に相談だ。
もちろん有給は部下の権利だが、業務を鑑みて有給取得時期の再考を依頼するのは上司の権利であります。「ワタナベ君がいないと業務が回らない」といった、いままで知らなかった評価を聞くチャンスかもしれません。まあそれでも休むけどね!職場には申し訳ないが、休むけどね!
ワタナベ:「すいません、1月末から2週間ほど、お休みを頂きたいのですが」
上司:「いいよー」
即決である。後腐れがなさすぎる。( ゚Д゚)よかったー!出世してなくてよかったー!!
ちなみにその後、出発に至るまで、「どうして2週間も休みをとるのか」については一度も聞かれませんでした。あれかなー、有給の理由を聞いてはいけないってルールに配慮してる会社なんだなー!もしくは私に興味がないかだなー!どっちかなー!!!
というわけで、偶然にも独り身のため家族用の蓄えは不要であり、幸福なことに微塵も出世してないため仕事も躊躇なく休めた私は、南極へと旅立つ足固めをしたのであります。この時期の私、
歌舞伎町を駆け抜けるキマリのように、ワクワクしてましたよ!何かが起きそうで、何かが始まりそうな予感!オッサンだって冒険していいんだ!ワクワクしていいんだ!さあ駆け抜けろ!!南極まで!!
その3へ続く。