ゲームレビュー:スルタンのゲーム
とあるところに、絶対的な王(スルタン)がいました。
この世のすべてを手に入れ、あらゆる権力と贅沢を味わい尽くしたスルタン。
そこに、女魔法使いがやってきて、「スルタンのゲーム」を勧めます。
殺戮・色欲・散財・征服。
引いたカードに書かれていることを実行し、また次のカードを引いていくスルタン。
あまりの暴虐っぷりを見かねた主人公が、命を賭してスルタンに諫言します。

主人公「そのような行いは止めるべきです!」
スルタン「じゃあお前がこのゲームをやれ」
主人公「ファッ!?」
という感じで始まるのが「スルタンのゲーム」です。
4種類のカードを1枚引き、制限時間内にその内容を実現しなければなりません。制限時間を超えたら、スルタンの処刑が待っています。

「殺戮」を引いたら、だれかを殺めねばなりません。しかし、スルタンのゲームのためとはいえ、市井の人を殺すと、とうぜん評判は落ち、関係者から逆に命を狙われることになります。配下の人間に手をかければ、部下が減り、今後の運営が苦しくなります。
「色欲」を引いたら、誰かと色欲にふける必要があります。娼館に出向き、お金で娼婦と色欲を満たすこともできますが、そうすると奥さんの機嫌が悪くなります。機嫌を損なったまま放置すると、やがて寝首をかかれることも。
色欲を満たせるのは、女性だけとは限りません。配下の男性とでも結べますし、特別な信頼関係があればそれで絆が深まることもあります。なんでしたら人間に限らず「動物」とも……。(ちなみにそれをするとスルタンは大喜びします)
という感じで、カードの制限時間を気にしながら、お金、部下、アイテムをコントロールしてなんとかスルタンのゲームからの脱却を目指す、というゲームとなっています。

この、
「本当はやりたくないんだけど、スルタンのゲームだから仕方なくやらざるを得ない」
というポジションが微妙に心地いいんです。普段なら褒められない行為も、「スルタンのゲーム中だから!これやらないと処刑されちゃうから!!」という免罪符が与えられているのが、いい塩梅なんですよ。

また、ストーリーの分岐が異様に多くて複雑なんです。ある人を助けるか見捨てるか、プロジェクトに資金を出すか出さないか、神聖なものを信じるか邪教を信じるか。そういった選択の繰り返しが積み重なって、いろんな物語につながっていく。いけ好かない宰相を殺戮カードで排除して、自分が後釜に座れば、今度は国家の問題(予算不足とか)を解決する必要がある。まーイベントが盛りだくさん!
私はなんとか「国外脱出してスルタンのゲームから逃げる」エンディングには到達しましたが、ほかにもいろんな終わらせ方があって、その実績を集めるのも楽しいです。
「スルタンのゲーム」、とても奥深くて面白かったです!



