父のお土産
そう、これは寿司です。
小さいころ、飲み会のあった父親が、たまーにお土産でこの寿司を持ち帰ってくれました。おそらく飲み屋で持たされたんでしょうね。
すでに眠っていた私と弟も起きて、金魚に入ってる醤油をかけて、二人で食べたものです。夜中に起きてまで食べる寿司は、背徳的で、珍しくて、とても美味しくて。あの寿司はたまらなく美味しかったなぁ。
まだ父を、一人の人間ではなく「父親」としか見られなかった時代の話。
もう、あの寿司を食べることはできないんでしょうね――――。
(BGMに流れるGet Wild)