シャンプーと質問

「急」か「不急」かで言ったら「不急」である。

そう思いつつ放置していましたが、いよいよ髪がうっとおしくなり、美容院に行きました。

 

人見知りの私ですから、担当の美容師さんの「今日はどうされます?」の問いに、「イツモト オナジデ…」と蚊が鳴くぐらいの音量で答え、あとは手元のFRIDAYを凝視して「話しかけないでオーラ」を出すことで難局を乗り切ります。

一通りカットが終わり、シャンプー台に連行され、そこで美容師さんからアシスタントさんへバトンタッチです。

アシスタントさん、どことなく、明るさがない。緊張しているのでしょうか。

そういえば、美容師の世界も会社的な制度がある、と聞いたことがあります。考えてみればいまは5月。もしかしたら、新入社員的な、新しく配属された方なのかもしれません。

であれば私もいい歳です。若者を応援する気持ちを持ち、鷹揚に構え、多少の失敗は気にしない、そんな広い心で接するべきでしょう。

シャンプー台に寝かしつけられ、顔にタオルをかけられ、シャンプーが始まります。

 

「力加減はいかがでしょうか」

うん、悪くないよ!強いて言えば、ちょっと爪の当たりが強い感もあるけど、まあ許容範囲でしょう。

 

「どこかかゆい所はございませんか?」

大丈夫です。とても気持ち良いです。

 

「洗い足りないところはございませんか?」

うんうん、まったく問題ないですよ!全体的に洗ってもらってますしね!

 

「流し足りないところはございませんか?」

流し足りないところ?

何だろう。「洗い足りない」はわかるけど、「流し足りない」とはどういう状態なんだ?どちらかというと、シャンプーが残ってるかどうかはそっちの判断でやってほしい。

いやまて!世の中には、シャワーで流されることを生きがいにしている人がいるのかもしれない。シロダーラかよ、という勢いで額にシャワーを当てられることが本質!という客がいるのかもしれない。なるほど。流し足りないところ。ないです。

 

「気持ち悪いところはありませんか?」

 

(゚Д゚)気持ち悪いところ???

ずいぶんな変化球を放ってくるぢゃないか。気持ち悪いところ……?いままで聞かれたことないな……。

二日酔いでちょっと気持ち悪いけど、それをここで言ってどうなるんだ、という気もする。かといって

「自分の顔が気持ち悪いです」

と言ったら、タオルをちょっとめくられて「そうですね」と戻されて終わったらどうしよう。もう泣きながら帰るしかない。髪どころか心が切られてる。

 

結局「ダイジョウブデス」と蚊の鳴くような音量で答えたのですが、いまだに何が正解だったのかが気になります。つぎは「この世界が……気持ち悪いですよね……」とか言ってみます。蚊の鳴くような音量で。