読書レビュー:「今夜は車内でおやすみなさい。」
アウトドア、人気ですよね。
キャンプブームに並走するように、車中泊も流行っているようで。
雑誌でも「男の隠れ家」「BE-PAL」で車中泊を扱ったり、ドラマ「絶メシロード」もテーマのひとつに車中泊がありました。
そんななか、車中泊を扱った漫画がこちら。
この漫画、2つのテーマがあると思ってるんですよ。
ひとつは車中泊。
もうひとつは、中年の悲哀。
主人公「シャーク小笠原」は売れない漫画家。本業は漫画家であると自負しているが、いまのところ売れるチャンスは見えないまま、工場でバイトしている。
だけど気づけばもうすぐ50歳。結婚もせず、休日にすることもなく、ただ時間だけが過ぎていく。
この先なにもなく、ただ歳をとって死んでいく。もう自分は終わった人間なのではないか――。
そう思うと耐えきれず、思わず車で飛び出す。
もう辛いわけです。
他人事とは思えないわ!!いたたまれないわ!!共感しまくりだわ!
……という出だしから、車中泊の楽しさに目覚めていく、という漫画なんです。
ただ、面白い。正直、面白い!
車中泊も、すぐに成功するわけではなく、最初は失敗ばかり。
女子高生がキャンプで失敗するのはあんなに微笑ましいのに、中年が車中泊で失敗すると何でこんなにみすぼらしいんだろう。
しかし、それでも「車中泊やってみたいなぁ」という気分にさせられるから不思議です。
もうひとつのテーマ、中年の悲哀、もいい味だしてるんですよ。
主人公のシャーク小笠原の悲哀はもちろん、家族がいるのに本当の居場所は別にある気がする編集者、日本一周をやめられないプロ、いろんな中年のいろんな人生が垣間見えて、これまた良いんですよ!
現在(2021年7月)は1~2巻まで出ていますが、3巻からは新展開も迎えそうな雰囲気!とても味のある漫画で、すごく楽しみです!面白かった!(≧▽≦)