※この文章は、映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」のネタバレを多分に含みます。未見の方は、ポップコーンとビールを抱えてシアターに特攻(ぶっこみ)してから読んでくれよな!
見ましたよ。映画ドラゴンクエスト ユア・ストーリー。
インターネット廃人であり引きこもりツイッター国民である皆さんには、すでに映画ドラクエの評判を耳にしているでしょう。
まあ気持ちいいぐらいに賛否両論。いや、どちらかというと否が多い。
「実写版デビルマンを下回った」という評価もあり、こういった時に必ず内輪差で巻き込まれるデビルマンには同情する限りです。
まあ、良くも悪くも、感情を動かされる作品であることは間違いない。
ちなみに私の感想としては、100点満点で映像80点、オチまでのストーリー60点、オチが-5000点、ビアンカの可愛さが2億点。
ビアンカとの出会いから、結婚までのシーンはずっとニヤニヤしてた。
あのビアンカのシーンで終わってくれたら、俺は鑑賞後の夜に
「フローラって……やっぱりいい女だな……」
とひとりごちながら、強めのブランデーを呷ることもできた。
できたのに。
ラストがなー。
オチがなー。
これを読んでいる人は、すでに特攻(ぶっこみ)終わった方々のはずなので、書きます。
ラスボスは、ゲームを悪いものとするコンピュータウィルス!「目を覚ませ!これはしょせんゲームだろ!現実に戻れ!」
んーーーー。
見る前から、だいぶ覚悟はしていた。だいたいこんな感じなんだろうな、という予想はしていた。
だけど、実際に見ると「んー!」という感想しか出ないわけです。
正直、終わった時点では「これはギリギリだけどアリだった」と思っていたんです。
ですが、いろいろ反芻し、思い返してみると、だんだんと
「これはマイストーリーではなかったのではないか」
と思うようになりました。つまり、「アリ」と思う自分と、「ないわー」と思う自分が共存しているのです。
どうしてこの映画に私はここまで心を揺さぶられたのか、掘り下げて考えてみました。なんかこの映画、見た後にとにかく文章を書きたくなるな!みんな書いているもんな!
ドラクエは王道であって欲しかった
ドラクエって、私にとっては王道のRPGなんですよ。
LV1から経験を重ね、仲間を増やし、強い装備を集め、一番強い敵…ラスボスと戦って勝利する。
「ずっとラスボスだと思っていた奴よりも強い、真のラスボスがいた」「裏の世界があった」など、多少のひねりはあるものの、最終的にはラスボスとの戦闘&勝利こそが物語のピークになるわけです。
となると、映画ドラクエにも、その王道な流れを期待するじゃないですか。
それが、「ラスボスは、ドラクエという世界の『外』の存在です!ウィルスです!」
そ・う・じゃ・な・い!!
たちまち心の鈴木雅之が「違う違うそうじゃそうじゃない」と熱唱ですよ。違うんだ!ドラクエの映画にそんな展開は求めていない!!!「実はこの星は地球でした」「実は敵は宇宙人でした」 「じつはあいつ幽霊でした」 みたいな映画的どんでん返し、私はドラクエの映画に、求めてない!!!まっとうなラスボスと!!!まっとうに戦って!勝ってくれよ!!!
ドラクエがゲームだなんて、みんな知ってる
で、ここでいう「ドラクエの『外』の世界」というところが、大事なのかな、と。
先ほど挙げた「実はこの星は地球でした」というオチ、少なくともその映画を見るまでは知らないわけです。宇宙人オチも幽霊オチも。
対して映画ドラクエから「これはゲームあり現実ではありません」とぶつけられたとき、思ったこと。
知ってる!!
そんなの最初から知ってる!!
そんなの全員知ってる!!
この映画を見る前から、いや、あの頃、お小遣い貯めて買ったドラクエ5を、スーファミに差し込んで電源を入れる前から!
知ってる!!
これはゲームだって!
作り物の世界だって!!
でも!
それを現実さながらに表現するのが!!エンターテイメントなんじゃないのか!!
それは「没入感」「リアリティ」「感情移入」といった数多の言葉で表現される、たゆまぬ努力なんじゃないのか!
ゲームの解像度が進化し、BGMの音質が向上したのも!映画館の映像や音響が洗練されたのも!上映中に携帯やおしゃべりが禁止されてるのも!すべてはその作り物の世界に!作り物と知りながら!人を誘い、陶酔させるためのものではないのか!
それなのに、映画ドラクエは、「この世界は作り物です」と、公式が言ってくる。
SO・U・JYA・NA・I!!!!!
たちまち心のモーニング娘。が「そうじゃない そうじゃない」とダンサブルに迫ってくるわけですよ。少なくともこのメッセージ、ドラクエの、公式からは放ってほしくはなかった!「こんなゲームにまじになっちゃってどうするの」ってたけしの挑戦状なら言っていい!もしくは勇者ヨシヒコでも納得する!でも、私が恋焦がれてきたエンターテイメントの王道、ドラクエには!言ってほしくなかった!
ドラクエ世界、中から見るか、外から見るか
世間の意見を見ると、この映画を評価してる人、クリエイター気質の方が多い気がします。
それは、その人が、「世界を作る立場にいた人」だと思うのですよ。
だから、ドラクエという世界の外にも軸足を置けていて、世界を作る苦労も当然知っているから、最後のメッセージが強く刺さったんじゃないかな、と。
それは確かにその通りなんだけど、私や、おそらく大多数の一般人は、この映画を、ドラクエ世界の「中だけ」の話だと思って見に来ている。心構えが世界の中にある。事実、終盤までそういう流れで進んでいる。
だから急に、外の世界の敵を示されて、外の世界の苦労や思い出を言われても
「んー!!!その気持ちでは見てなかったー!」
ってなっちゃうんですよね。それは、どんでん返しとか超展開とかとは、さらに別の次元の話ではないかと。
私は、映画の最後のセリフ「あのころ僕は勇者だった」が、すごく刺さったんですよ。
それは、ラスボス戦から、「あ、この映画は外側からも俯瞰していいんだ」と理解したから。それで意識が世界の外にも向いたから、最後のセリフは「ああ、そうそう……あのころ勇者だった……」って、素直に受け止められたんだと思います。
だから、最初っから、「この映画はドラクエ世界を外からも見ていいんですよ」みたいなメッセージがあれば。爺さんドラゴンの「今回はそういう設定になっておる」みたいなセリフだけではなく、ちゃんとそういう世界観を示せていたら、「んんー!!」とはならなかった………いや、やっぱりドラクエに、この流れは似合わないのか……。
長々と書き連ねてまいりました。 言いたいことはまだまだ尽きませんし、文句ばかりじゃなくて評価した部分もたくさんあるんですが、私が一番言いたい結論は
ビアンカ超かわいい(2億点)
ビアンカにパフパフと言わせた時点で勝利です。
以上、長々とありがとうございました。