この日想でも幾度となく話題にしてきた、私の左下にある親知らず。
口腔外科でないと抜けないぐらいの難物、と聞いていたのですが、歯医者で病院の紹介状をゲットすることに成功しました。
口腔外科の予約を取り、いよいよ当日です。
以前、今回とは反対の右下の親知らずを歯医者で抜いたことがあります。
夕方から施術したのですが、摘出にとんでもなく苦労をしまして、施術開始から1時間30分経ってもまだ抜けず、夜になにか用事を入れていたのか、とうとう歯科医のご家族(奥さんとお子さん)が医院にやってきて、「まだ終わらないのかはやく治療を終えろ」という無言のプレッシャーを受けるという、地獄のような思いをしたことがあります。私のせいか。私のせいなのか。
そう。親知らず抜歯には時間がかかるのです。
その経験を活かし、長期戦に備えてトイレ・食事も事前に済ませ、病院へ向かいます。
案内されたのは口腔外科。椅子に座って待っていると、先生のお出ましです。
先生「本日はよろしくお願いします」
すごい美人。あれ?美容クリニックに来たんだっけ?と一瞬戸惑うぐらいの美人。
しかし。こと抜歯については、美人の先生よりも「主食はプロテインです!朝食のスムージーとしてりんご握りつぶしてますよHAHAHA!」みたいなマッチョ先生がペンチ片手に現れてくれたほうが嬉しかった。抜歯って体力勝負なイメージない?近接系スタンドっぽい先生のほうが嬉しくない?
そんな思いもつゆしらず、美人先生から説明を受けます。
先生「まず歯茎を切開し、飛び出ている親知らずの頭を削ります。そのあと横方向に抜くんですけど、状況によってはもう少し削ったり、中で砕いてから引っこ抜くかもしれません。なにか聞きたいことはありますか?」
ワタナベ「すげぇ怖くなってきたので聞かないほうが良かったです」
椅子を倒され、歯茎に麻酔をされ、いよいよ施術です。
さあ……1時間以上にわたる旅路、乗り越えてみせるぜ……(よだれたらしながら)
先生「じゃあ削っていきます」
ギュイイイイイイイイイイイイイン……
いつもの歯科治療で聞くドリル音の10倍ぐらいの音量がワタナベを襲う!!!!
麻酔が効いてるから痛くはないけど、すさまじい不快感が頭蓋骨を駆け巡ります!これツライ!!こういう拷問があったら私すぐゲロっちゃうと思う!!!耐えろーーー!!
メキメキメキッ
顎のあたりから、人体から鳴っちゃいけない音が鳴り始めます。
これツラいーーーーー!!助けてーーーー!!これ1時間以上だなんて絶えられない!何でも話すから許してーーーー!!
先生「はい、終わりました」
ワタナベ「(゚Д゚)えっもう?」
なんと、3分も経たずに施術完了。
すげーーー!口腔外科すげーーー!!
先生「抜けた親知らず、持って帰ります?」
ワタナベ「あっハイ!……えっなんで?(自分に対して)」
写真だけ撮って帰りました。
まったく楽勝だったぜ!!あー抜歯なんて簡単だよなー!!もう抜歯舐めプ勢として生きていこうかなー!!まったくチョロいもんだぜ!!!
【モノローグ】
その夜、油断したワタナベを、歯茎からの止まらぬ出血、腫れ上がる歯肉、突き抜けるような痛みが襲ったのでした―――――(続)