8月31日閉店のお店

2022年8月31日

先日のことです。

街を歩いていたら、とある居酒屋に

「当店は8月31日で閉店いたします。長らくのご愛顧、誠にありがとうございます」

 

コロナ禍となり、お酒を飲む機会がめっきり減りました。

飲食店はかなりのダメージを負っているのでしょう。この居酒屋も、街ではけっこうな歴史のある店だったのですが、どうやら耐え切れず閉店となった模様です。

 

そんなことも忘れていた、本日。8月31日。

晩ごはんを何にしよう、と街をうろついていて、ふと、閉店のことを思い出しました。

「今日、閉店じゃないか。最後だし行ってみようかな」

 

お店に入ると、入り口に一番近い、レジ横のカウンターに通されました。

カウンターにはお花が並び、店内は常連っぽい客でぎっしりです。

最後の日、大賑わい。店主も忙しそうにしています。

店主はいったい、どういう気持ちでいま、生ビールをジョッキに注いでいるのでしょうか。

 

一人でビールを呑みながら肉をつまんでいると、会計をして出ていく客と店主の会話が聞こえてきます。

 

「本当にこの店が好きでした」

「これからどうするんですか?」

「次のお店は決まってるんですか?」

 

そう行って、店主と一緒に店の写真を撮って、みんな出ていきます。

 

いったい店主は、どういう気持ちでいるのだろう。

「そんなに好きだったら、もっと店に来てくれよ。そうすれば辞めなかったのに」

とは思わないのだろうか。

もしかしたら我々は、残酷なことを言っているのかもしれない。

それでも、何かを言わなければならない、そんな気になってしまうのです。

 

食事を終えて、会計をしようと店主を呼びます。

すると店主、

「美味しく召し上がっていただけましたか?」

 

ダメですね。

柄にもなく、言っちゃいました。

 

「僕がこの街に引っ越してきて、初めて来たのがこのお店だったんです。美味しかったです。いままで本当にお世話になりました。」

 

 

深々と頭を下げてくれる店主にお礼を言って、店を出ます。

家に帰る道すがら、ふと、思いましたね。

 

 

 

 

 

この街に来て初めて入ったお店、サイゼリアだった気がするな

 

 

日記

Posted by watanabe@logipara.com